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『ある精肉店のはなし』 [田舎者の東京散歩]

今日は今日とて、ポレポレ東中野で『ある精肉店のはなし』を見てきた。
大阪府貝塚市の肥育から小売まで一貫経営する北出精肉店を追ったドキュメンタリー。普通の街中で牛を飼い、屠畜し、肉を売っている。畜舎から住宅街の中を牛を引いて屠畜場へ行く。そして牛が屠殺されるところから始まる。そういう肉屋が今でもあることにまず驚かされる。
枝肉になって戻ってきて、通学途中の小学生たちが吊るされてる肉を見て「すげー」「うまそう」と歓声を上げて覗いて行く。その笑顔がすごく素直でいい。後の方で肉屋の北出さんが「普通の仕事」と話すが、そういうものだし、それが当たり前のものとして街中にある社会こそ、真っ当に思える。理屈じゃなくてさ。
肉をさばく、ホルモンを洗う、皮をなめす、太鼓をつくる、職人の太い腕とその動きは美しい。

しかし、『祝の島』を見ていないので、氏の映画は初めてなんだけど、期待が大きかったぶん、少し期待はずれの部分が。前日に『流血の記録 砂川』という傑作を見ていたせいもあるかもしれない。昨日のドキュメンタリーフェスティバルのトークショーで足立正生氏と山崎裕氏が、作り手がどういう位置にいるか、肉体の置き場によってドキュメンタリーは大きく変わるという話をしていた。それが頭にあったので、作者の視点はどこにあるのかをすごく気にしながら見ていたのだけど、そこがイマイチなのだ。それ故か、単に技術が未熟なのかわからないけど、カメラをどこに向け、どこにフォーカスするのか、定まっていない。「なんでそのタイミングで手元にフォーカスせんねや!」とツッコミたくなるカットがいくつもあった。人を撮りたいと思っているにしても、話の引き出し方が甘い。素材はいいけど、ドキュメンタリー作品としての完成度には?がつく。でも、見る価値、知る価値はある。

『ある精肉店のはなし』
http://www.seinikuten-eiga.com

本橋成一氏による写真絵本も出てます。
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54012222/
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