対馬市にて [Arcives_ローカルな思想を紡ぐ]
長崎県は対馬(旧・上県郡峰町、現・対馬市)の農家の庭先に並ぶ変なもの。これは“せん”というもの。知識としてはあったが、実物を見たことがなかったので、つい「この丸めたものはなんね?」と聞いてしまった。この時期の対馬の農家の庭先にはこういうものが干してあるのだ。かなり臭う。
サツマイモのでんぷんを固めたものである。対馬は壱岐と違い、山ばかりの島。それだけに保存のための加工法がたくさんある。“せん”はサツマイモをつぶし、まるめて発酵させたものを乾燥させ、さらに水につけてアクを取り、ザルで漉したものからデンプンを取り、丸めて干したもの。水につけて漉して干すという作業を何べんも繰り返す。オーバーに1000遍繰り返すということから“せん”という名がついたそうだ。これをそのまま戻して食べたり、米の粉とまぜて餅にしたり、麺にしたり(ろくべえ)して食べる。…あまり美味いものではないが、食べごたえはある。そして、先人の知恵のすごさを感じる。
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